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どんぐりッ子 (森昌子主演 1976年公開)を見た

森昌子さん主演の映画「どんぐりッ子」を見る事ができた。この映画の上映時間は92分。よく出来ている映画だと思った。 しかしこの内容だと最短でも2時間は必要な映画だとも思った。内容が濃いから90分にまとめるには、ずいぶん苦労したのではないかと思う。
どんぐり01

「どんぐりッ子」は1954年に「小説新潮」に掲載された由起しげ子の「女中ッ子」が原作で、発表されてすぐ昭和30年(1955年)に映画化されている。最初に映画化された時の尺数は144分の長編映画だった。本当はこのくらいの長さでないと作品の良さが出てこないはずだ。それをあえて90分に収めるところで、脚本家と監督は、きっと苦労したに違いない。

しかし「どんぐりッ子」は最初から芸術映画にはしないという意思があったのだろう。でも森昌子さんの「芸能生活五周年記念映画」として製作するのだから、それに見合う恥ずかしくない映画にしたいという思いも同時にあったと思う。

基本的には娯楽映画にするという方針で製作されていることがわかる。しかし原作にはしっかりしたものを選び、安直なアイドル映画にはしたくないという製作者の意思が伝わってくる。スタッフと出演者の苦労の甲斐があって良い作品に仕上がったと思う。

純粋に映画として見れば、もっと細かい描写があったほうが良いという所が、いくつもある。しかしこの映画を観る時には「娯楽映画の90分の枠を強く意識して作られた作品だ」という事を考慮して見てあげないと可哀そうだ。

ハツと勝美(右端)と、勝美が内緒で飼っていた犬のチビ
お母さんが飼っていいって言ったんだ。
えかったなあチビ 今日からお前は日陰もんでねえぞ!
どんぐり13

ストーリーは田舎娘のお手伝いさんと、親の愛情に恵まれない都会の子供(加治木家の次男の勝美)との友情物語。主人公の"織本はつ"は自然のままに生きている田舎娘。このキャラクターは昌子ちゃんのキャラクターに、良い意味でピッタリと合っている。 90分の枠に収めるために余分な描写はできるだけ省いて、省略に無理のあるところは漫画的に上手く話をさばいて笑わせてくれる。セリフにもなかなか気の利いたところがあって飽きさせないし、観客を嫌な気分にさせない映画だ。

※人物関係
主人公は山形県の山村から東京に出てきた”織本はつ”(森昌子)。 加治木恭平(長門裕之)は”はつ”がお手伝いさんをする家の主人で石油会社に勤める。役職は部長。梅子(南田洋子)は恭平の妻。ちょっと口うるさく世間体を気にしすぎる傾向がある。 加治木家は中流よりは少し上の比較的裕福な家庭。子供は二男一女の三人兄弟。次男の勝美はきかん坊のひねくれ者で、母親からあまり可愛がられていない。


印象に残ったセリフ その1
梅子
「ちょうど去年の春でしたわ。会社の奥様会で芭蕉の足跡を訪ねる
みちのくの旅っていうのに参加しましたでしょ」

恭平
「そうだっけ」 ほとんど関心がない様子。
梅子
「その時ね、山形県の山寺へ行って、ほらあなたもご存知でしょう。
芭蕉がそこで詠んだ有名な俳句。」
恭平
「知らんね」
梅子
「だから困っちゃうのよねぇ 技術屋さんて・・・」
はつ
「ス(し)ずかさや 岩にス(し)みいる 蝉のこゑ・・・」

恭平は、田舎娘のはつが俳句を暗唱してみせたことに少し驚く

恭平
「ほほ・・・なかなかの文学少女だね」
はつ
「んでねえ。商売だス」
恭平
「・・ん? 商売・・?」
どんぐり02



加治木家の次男 勝美は学校でも問題児の嫌われ者
「ローラースルーゴーゴー」で遊ぶ同級生は勝美を見つけて虐めにかかる

どんぐり14

勝美の自転車を「けったいな自転車」といって仲間はずれにする同級生
どんぐり15


印象に残ったセリフ その2
母の梅子 勝美にローラースルーゴーゴーを買ってくる。
ついさっき、勝美はローラースルーで遊んでいる子供たちに
仲間はずれにされたばかりである。

勝美
「いらねえや こんなもの」
梅子
「まあ せっかく買ってあげたのに」
勝美
「ぼく 買ってくれなんて言わないもん」
梅子
「なんてひねくれてんのかしら 人をばかにして。
もう何にも買ってあげないから」
勝美
「ちぇっ」 勝美 ローラースルーを蹴り倒す。

それを見ていた はつ
「勝美ちゃん なして"ありがとう"って言わねえの!」
勝美
「だって僕、自転車のほうがいいもん」

はつ、普段は見せない厳しい顔で勝美の腕をつかんで言う、
「ばかたれっ!!」 はつは勝美を思いっきり叩いた。
どんぐり03



印象に残ったセリフ その3
夜中、恭平の部屋に入るとオルゴール作りに熱中している。

はつ
「旦那様は石油の会社でなかったべか。
石油の会社の部長さんが
こだらおもちゃ作って遊んでたのすか」

恭平
「そうだよ。これは私の趣味なんだよ。
どっちかというと仕事よりも大事なんだ・・・」
・・・
恭平
「趣味と仕事がますますかけ離れてくる。
これが都会生活の悲劇なんだね。
だから君みたいに自然のままに調和して
生きている人間を見ると羨ましくなってくる
。」

はつ
「なして私が羨ましいのスか?」
恭平
「・・・。まあいい・・・僕も寝る。君も寝たまえ」
はつ
「はい おやすみなさいませ」

自分の部屋に帰ろうとするが、はつは振り向いて言う。
はつ
「旦那さん 私・・やっぱりわかんねえス。
そだらことして遊んでて いっぺえ給料もらう
旦那さんのほうが、ずーっと羨ましいス」


恭平 少し微笑んで言う
「・・・。わかったよ・・・おやすみ!」

はつ
「はい!」
はつは、にっこり笑って部屋を出て行った。

どんぐり04



印象に残ったセリフ その4
飼っていた犬 チビを母親に棄てられた勝美は、はつの家へ家出してくる。
どんぐり05

勝美はもう東京へはぜったい帰らないという。
どんぐり06

祖母
「はつ なぜするつもりだ? これから」
はつ
「困ったなぁ・・・」
祖母
「ほれ・・・お前が学校さ上がる前に、飼ってた兎が死んだときよゥ
三日もメソメソ泣き通しだったべ。
その時、ばあちゃんは どだなことしたっけ?
アメなめさせたっけか?」

はつ
「んねえ! 頭から水ぶっくらえたっけえ!」
どんぐり07



印象に残ったセリフ その5

はつ
「ぼっちゃん ずーっと秋になるまで はつの家に泊まろか。
もう東京へ帰るんでねえぞ」
勝美
「・・・ぼく 東京へ帰る」
はつ
「このぉ 嘘つきめが!」
勝美の頭を小突く はつ。 笑う二人。

どんぐり08


ラストシーンは・・・
この映画は全体的に嫌味のない明るい作品に仕上がっている。この出来栄えを見ると、私はラストシーンもハッピーエンドで終わらせたくなる。
学校から帰った勝美くんは、きっと はつを連れ戻しに行くだろう。
もう勝美はひねくれ者じゃない。母親のコートの一件も「はつがやったんじゃない。あれは自分がやったんだ。悪いのは僕なんだ」と言える子供に成長している。
どんぐり09

しかしハッピーエンドで終わらせるためには、あと15分くらいドラマを書き足さないといけないだろう。娯楽映画としては、ちょっと長い。でも、この映画はやっぱり90分の枠に収めるには惜しい映画だ。17歳の昌子ちゃんはもう戻ってこない。この時しかこの映画を撮る機会は無かったのだ。それを思うと、せめてあと10分~15分長くしても良かったように思う。
どんぐり11

今のように家庭用ビデオが普及することがわかっていたら、必要なシーンを撮っておいて、後で未公開シーンとして付け足して「完全版」として発表することも出来ただろう。

でも、それは今になったから言える事か。「どんぐりッ子」は良い映画だけど惜しい映画でもある。佳作と言うには問題ない。でも文句なしの名作にするには尺数が短かった。それだけが、ちょっと残念。
どんぐり12

この記事を書くにあたってHP「ひぐらしの鳴くとき」およびその掲示板の情報、などを参考にさせていただきました。貴重な情報を提供して頂き感謝いたします。ありがとうございました。


サイト内 関連情報 「森昌子」で検索
http://hanakaikou.blog68.fc2.com/?q=%BF%B9%BE%BB%BB%D2
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外部関連リンク

森昌子公式ホームページ
http://morimasako.jp/

「ひぐらしの鳴くとき」
撮影秘話やらロケ地訪問やら貴重な情報がいっぱい
昌子ちゃんのリハーサル中のスナップ写真もあります

http://www.sunfield.ne.jp/~iwashaki/index.html

森昌子ファンサイト「思い出そして未来へ」
http://reidiary.hp.infoseek.co.jp/


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